かちがわ通信

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飲食業の生産性と働き方改革

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少子高齢人口減少に伴い生産人口の減少は深刻で、ここ5年間で約一千万人減少したようです。これを高齢者や女性、外国人労働者で穴埋めしようというのが政府の方針ですが、人がいないので閉店もしくは営業時間を短くする話は最近よく聞かれます。他産業と同じく飲食業界の人手不足も深刻で、約80%の店が「人手が不足している」とアンケートに答えているそうです。募集チラシを入れても集まらず、結果、業績に関係なく給与、時給はどんどん上昇すると嘆く声も聞かれます。昨年、春日井市内に支店のある某レストランは、人が集まらないので国内を諦め海外での事業展開にシフトするという話を聞きました。

そこで、出てきたのは「ITや省力機械を導入して生産性をあげる」という考え方です。生産性とは単一労働が生み出す付加価値(労働生産性)のことですが、ロット(売上金額)のことではありませんので、出来るだけ低いコストと効率的なオペレーションで売り上げ確保となります。ただ、限界売上(客数×平均客単価)以上の売り上げはありませんので、となると、規模や程度の違いはあるんでしょうが、多店舗化もしくはグループ化して仕入れコストを下げるか、調理済みの食材を導入し 作業工程を平準化するファミレス業態に収斂されることになるんでしょうか。

もう一つの考え方は、とは言ってもお客様の嗜好は様々ですから、季節の食材を手間暇かけて調理し、掛かるコストを価格に転嫁するという考え方です。これは中々デフレから脱却できない現状を考えれば、超が付く一流店以外は勇気のいることかもしれませんが、本当に美味しい物はそれなりの価格ということを理解していただくほか無いのかもしれません。

要は、コストから価格(売上)を考えるのか、価格(売上)からコストを考えるかなんでしょうが、コストを積み上げると到達不可な予測売上になってしまうので、やはり予想売上からコストを考えた方が健全なんでしょうね。スキルのある店は安い食材でも上手に調理しますしコストを下げる術を知っています。また、歴史のある店は「信用」といったストックがあります。これら競争優位性をどう活用し付加価値にしていけるのかがポイントになるんでしょう。

先ほど書いたように飲食業も二極化の道を進むんでしょうが、我々の様な小規模店や個人店は、包丁と電卓を両手に、こころに愛情を持って生産性を上げる努力をして行かなくてはなりません。来ていただきたい顧客層をキチンと把握し、ポイントを絞ったメニュー構成、接客を心掛けることが解決策の一つだと思います。

一方、働き方改革なんですが、製造業のようには考えにくく、全体から見れば顧客対応業という側面がある以上、お客様の要望に合わせて動けば、どうしても非効率になるのは宿命です。調理機械も、真空調理機、コンベンションオーブン、全自動炊飯器等々省力化に繋がる機器は、仕事が楽になるだけで、それでは余った時間を他の作業にとはいかないのが現状。ましてや、三人でする仕事を二人で出来ますので、生産性は上がりますが働き方改革にはつながりません。サービス部門でもPOSレジの導入は、間違いが少なくなるなどのメリットはあるものの、結局、それ以上の省力化はサービス低下に繋がってしまいます。つまり労働環境の改善だけでは、なかなか改革に繋がらないではと考えています。

それでは、どうすれば働き方改革が出来るのか? 飲食業は伝統的に個人のスキルに負う部分が大きいため、これが結果的に社員やPA長時間労働に繋がり離職率が高くなるという悪循環を引き起こしています。また、時間内に処理しようという意識が低いと、不要な残業も増えてきます。まず、この意識改革をしつつ、経営側も待遇改善やシフト制の導入等を考えて行かなくてはと思います。弊店では、2月から定休日を月曜日に変更しますが、市場がほぼ毎週水曜休みになるというのもあるんですが、木曜定休が祭日に重なると振替休日がとりにくくなるという理由もあります。まずは出来ることから少しずつ・・・・試行錯誤が続きます。