かちがわ通信

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蘇る”愛岐トンネル群”

明治33年に開通した国鉄中央線は、昭和41年の複線電化に伴い、高蔵寺・多治見間の13のトンネル群と軌道が廃線となりました。この近代遺産に目を付け再生を言いだしたのはポトスの村上さんです。当時、我々は勝川駅の改修に伴いホームに使われていた開通当時の煉瓦に目を付け保存再利用しようと、工事を担当していた業者にお願いし、なるべく壊さないよう慎重に取り壊してもらい、駅南の空き地に運んでもらいました。最初は簡単に剥せると思っていましたが、流石に100年以上の年月が立っていますので、ドリルを入れると粉々に・・・・結局1個づつ手作業で剥すしかなく、そこで、勝川駅周辺まちづくり協議会に”レンガはぎ取り隊”を結成、広く市民に呼びかけをし、手伝いをしてもらうことにしました。いまでは、当時はぎ取ったレンガで、勝川駅前公園のベンチや春日井ライオンズが創立45周年記念モニュメント。勝川小学校の100周年モニュメント、また、一般家庭でも庭のアクセントに使用されたり幅広く再利用されています。
そんな時、何処からともなく耳にしたのが、このトンネル群の話です。早速、調べてみようという事になったんですが、私は再開発事業が残っていたので、村上さんにお願いする事にし、彼が事務局長になり「NPO愛岐トンネル群保存再生委員会」を結成。以後、約90人のボランティアの方が中心になり調査、整備が、現在でも行われています。

さて、このトンネル群への関心は非常に高く、過去の見学会には2万人近い人が全国から詰め掛けています。また、周辺の自然環境とも併せて、春日井の文化近代遺産としては、全国に誇れる内容があるだけに「もっと力を入れて整備したら」と春日井市観光協会の会合でも、度々話題にしていますが、反応はいまいち。そこで、今回、11月23日から28日の日程で、第6回目の見学会が開催されますが、期間中、約2万の人出が予想されていますので、これに先立ち、商工会議所の役員・議員さんに見てもらおうと、村上さんにお願いし、本日見学会を実施しました。

愛岐トンネル150人からの人に案内を出しましたが、申し込みのあった約10名が、午後1時半定光寺駅に集合。迎えに出てくれた村上さんの案内で、側道から今年春に設置された鉄製の階段を上り3号トンネルの前で、まずレクチャー。私は階段を上がっただけで、息切れです(苦笑)、その後、3号トンネルから視察開始です。



愛岐トンネル2今は、ボランティアの皆さんの協力で、下草が綺麗に刈り取られていますが、当初はもちろん道も無く、1日かけて数Mという作業の連続だったそうです。写真の竹林は3号トンネルと4号トンネルの間に整備された東屋ですが、将来的には休憩所にしたいと、庵が持ち込まれていました。これもボランティアの皆さんの遊び心でしょうか。


愛岐トンネル34号トンネルを抜けると少し広い場所に出ます。ここには仮設のトイレや、唯一の喫煙所が設けられ、下を流れる庄内川の景観も楽しめますが、山側を見上げると山の谷になっていて、雨が降ると一気にこの場所に流れ込むようです。その為に水を流すための深い暗渠も掘られ、上から覗き込むと吸い込まれそうです。


愛岐トンネル4トンネルの入り口は、其々違った構造で作られていて大変興味深く説明を聞きました。中には地盤が緩く迫(せり)石と呼ばれる、アーチを形成するための台座のレンガが七重にも巻かれた物もあり、重厚な雰囲気を醸し出しています。地下に入ってしまうトンネル構造物で唯一装飾を施し主張している部分とのことで、苦難の証としているようです。


愛岐トンネル5真っ暗なトンネルを抜け、眺める外の風景は、本当に新鮮で、紅葉しかけた木々が本当にきれいに映えていました。そういえば、今回の視察会で、村上さんから聞いて一番楽しみにしていたのが、4号トンネルを抜けたところに在ったもみじの巨木です。”三四五のもみじ”と名前が付けられたこの木は、幹回りが210CM、高さが約18M、樹冠の幅が約26M、推定樹齢は98年~110年というもので、もともと軌道があった場所に根があっただけに、開通当時に伐採されたらしいとの事ですが、廃線後、その根から、3本の芽が出て現在に至っているようです。今回は、まだ枝先しか紅葉していませんでしたが、見学会には素晴らしい姿になっているのかもしれません。

あらためて感じたのは、ここって本当に春日井市? こんな素晴らしい自然と、後世に残すべき近代遺産。絶対に守るべきだとは思いませんか。。興味のある方は是非見学会にご参加を。ただし、相当混雑が予想されますので覚悟してお出かけください・・・とのことです。