かちがわ通信

春日井市勝川発のまちづくり情報発信中!! 自立分散型、みんなでやらないまちづくりに取り組んでます

脱・補助金時代のまちづくり

もう少し商店街振興組合という組織は、伊勢湾台風で甚大な被害が出た商業を支援するためにその受け皿として出来たと言われています。名古屋が発祥の地と言われるのはこのためで、その後スーパーが台頭し地域商業が脆弱化して来ると弱者補助とばかりに保護されれて来たのが今の商店街です。しかし、国の財政が厳しくなり来年度からは戦略的中心市街地補助金が廃止され、その他にも今まで補助金頼りで運営されてきたイベントなどはその財源の一部を失うことになります。春日井市の場合は、ここ数年は商業振興条例による補助も維持されるとは思いますが、いつまでも出してもらえる保証は一切ありません。

木下くんの講演は、将にこの点から始まりました。今まで補助金で活性化した商店街はないとまで言い切り、組合費、補助金に頼る運営から自主財源を持つべきとの事です。確かに先進的な例えば高松の丸亀商店街は、現在の所有と使用を分離する再開発手法が有名ですが、むしろ数十年前から商店街所有の駐車場を運営し自主財源を稼いでいたことが今日の土台になっているようです。また長崎浜んち商店街での共同決済事業ではクレジットの決済を一括化することで手数料を稼いだり、全国でも活性化されていると言われている商店街は、例外なく何らかの自主財源を生み出す物を持っています。また、商店街が持つ構造(組織)的な問題点や運営方法にも言及し、過去の柵(しがらみ)にかられている役員は退任し、内部、外部を問わず若い人材を登用し人の面から活性化するほうが良いとはっきり言われてしまいました(笑)これは理想論ではなく川下からリアリズムを感じながら街を構成していかないと、何れは維持コストで破綻するとの考えです。例えば震災復興が良い例ですが、全国から大学の著名な先生や建築家、国の役人が書く絵には復興予算としてのイニシャルは織り込まれているものの、7割とも言われている維持費には言及されていない点です。以前、女川の復興計画(パース)を見たことがありますが、他にも僅か数千人規模の街に、広大なSCや観光施設を配置する神経は言われるまでも異常です。同じことが地方都市の商店街にもいえ、まず自分の街を冷静に分析し、また、出店者が支払い可能な賃料をどう設定することが本当に大切だと感じています。

木下くんの話は、意識ある人だけで街をリノベーションし大きく稼ぐことは考えず、確実に再生していく方向を見つけたほうが早いという結論だと思います。「商店街(商業)の問題に、市場原理が違う金(補助金)を入れても解決しない」とか「意見を出す場所と決める場所(数名で構成する)を分けたほうが良い」等々、歯に衣を着せぬ言葉の速射砲の様な羅列に、私自身は付き合いもあり、彼の論文や著書も多少は目を通しているので、言葉の一つ一つが腹に落ちますが、他の参加者はどうだったんでしょうか。理解できた(と思われる)数名からは本当に素晴らしい講演だったと連絡をもらいましたし「水野さんが彼を呼びたかった理由が分かった」と言って頂けました。しかし、大半は理解不能? まあじっくり木下イズムを浸透させていきますし、先日も書きましたが、そろそろ従来の組織に見切りを付ける時期かもしれませんね。そんなことを認識できた講演会でした。まあ、もうちょっと頑張ってみるか・・・です。