かちがわ通信

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病原性大腸菌

三連休が終わっても明日から週末、人によっては10連休と言う羨ましい話も聞きますが、背景には不況や震災による生産調整もあるようで単純に喜んでもいられないのかもしれません。
さて、この所連日報道されている、焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件ですが、死者4名、重症者69人以上になり刑事事件として一斉捜索が始まったようです。同じ飲食業界ですから感染経路がどこまで解明されるのか注目してみていますが、報道では「細菌検査をしていなかった」とか、「前日のユッケを翌日提供していた」とか、毎度毎度のバッシングが始まっています。店側の不手際であることは間違いないんでしょうが、いまのところ店内からも菌は検出されず特定が出来ない状態が続いています。

この病原性大腸菌O-111ですが、基本的には数年前話題になったO-157同様、少ない菌数でも発症する強毒性の細菌で、この両タイプとも”ベロ毒素”を出しますので、これが危険だと言われています。しかし、熱に弱く85度以上で、一分間加熱すると死滅しますし、この病原性大腸菌だけでは死にいたる事は少なく、殆どが5~7日で軽快してきます。実は、問題なのは【溶血性尿毒症症候群(HUS)】という合併症です。これは下痢が始まって5~10日位で発症し血尿や手足のむくみ、貧血、顔色が悪くなる等の症状がみられ命に関わるケースがあります。恐らく今回はこれが原因とも思いますが、実は、早期に治療すれば回復が早いとも言われています。発症早期は下痢しか症状がみられませんが、下痢くらいと考えず早めに医療機関を受診することが肝心で、特に血便が見られたら、いくら元気に見えても様子など見ることなく、すぐに医者にかかる方が良いとの事です。

また、今回の事件を受けて、生肉の衛生基準について法整備を求める声も挙がっていますが、個人的にはきちんと修行した職人が、責任をもって提供するのが飲食店で、仮に法律が出来ても、実際調理するのは人間ですのでこの手の事件は無くならないのではと感じています。実際、まぐろの刺身の衛生基準を定めた法律なんて見た事もありません。プロの調理人が心掛けるのは、まず最初に安全であること、2番目に美味しい事、3番目が見た目の美しさと教えられてきました。しかし、最近では、仕入れから調理する行程の手順書を作成し、菌が付着する段階を未然に排除する「リスク管理表」を作成してますが、これとて自主管理が前提で法律で定められている訳ではありません。
まだまだ、原因が特定できていない段階で判断するのは良くないかもしれませんが、多分、今回の様なチェーン店は、会社が作った手順書を見ながら調理をしていくため、何故危険か、何故こうしなくてはならないのかという理由を理解していないために、つい素人判断をしてしまうことが原因の一つの様な気がします。これから夏場に向けて食中毒が増える季節です。本当に注意しなくてはと全員に言い聞かせています。