かちがわ通信

春日井市勝川発のまちづくり情報発信中!! 自立分散型、みんなでやらないまちづくりに取り組んでます

春日井経営塾vol.4 脱補助金時代のまちづくり

さて、いよいよ最終稿、脱補助金時代のまちづくりです。この部分は以前このブログでも書きましたが、結論ありきで恐縮ですが、かつての好景気を背景に順調に税収を伸ばした行政が、補助金という再配分で中央集権的に街を作った時代は終焉し、むしろ地域が独自のアイデアを出しながら自立していかなくては立ちいかなくなるという内容です。

そもそも商店街振興組合は昭和34年の伊勢湾台風の復興のため、その受け皿のために法制化された組織で、いわゆる商業集積(30店以上が軒を連ねる)とは違う意味合いがあります。この商店街振興組合法は、その後、大店舗規制法が施行され、大型店の出店を規制することで中小小売り業者の振興を図ることを目的に形を変えていきますが、規制緩和の大きな流れの中で、大店法は撤廃され、まちづくり三法と言われる、大店立地法中心市街地活性化法都市計画法が施行され、その後改正され現在に至っています。春日井市においても、商店街振興条例に基づき、空き店舗への助成を始めイベントへ補助等、補助金メニューが揃えられていましたが、昨年から提案型の事業に対して補助するという形に変わってきています。これは行政側から言えば、金額を抑えたいという意図も見えますが、自虐的に言えば補助金で街が活性化したとは到底思われませんので、税金の使い道としては当然だと思います。単なるイベント(お祭り)を100回繰り返しても街は活性化しません。

商店街が衰退した原因は色々あると思います。前項で書いた街のスプロール化もそうでしょうし、車社会に対応できなかったというのも当たっていると思います。また、価格競争について行けないとか、品揃えが悪いといった個店の問題も言われますが、かつて商店街VS量販店で語られた商店街の問題も、今や量販店VS量販店やVS専門大店、コンビニと形を変えています。かつてどの街にもあった肉屋、魚屋、八百屋が姿を消しましたが、それではその街の住人が、肉、魚、野菜を食べれないかといえば全く問題なく手に入れることができます。むしろ量販店やスーパーが一年365日、早朝から深夜まで営業し、広い駐車場も完備。接客も良いとすれば、商店街が衰退して誰が困ったんでしょう。むしろこういったことに気づかず大型店の出店を「悪」とし、補助金頼りの運営を続けてきた春日井も含めて全国の商店街の罪は本当に大きかったと反省すべきとも考えています。
経産省は、「「商店街は地域コミュニティの核」と言っています。光文社新書 「商店街はなぜ滅びるのか」 の著者、新雅史さんは、著書の冒頭で「東日本大震災の被災地で、ボランティアが行き交うのは商店街で大型店やチェーン店では見ない。何故?商店街だからこそ本来出会うことが無かった雑多な人たちが交差し商店街の「魅力」が現れたのでは」と書かれています。また、先日安城で行われた商店街サミットの基調講演で、映像作家の大林宣彦さんは「商店街は文明ではなく文化だ」と言われていました。さらに、株式会社三菱総合研究所の「商店街アンケート」(2005年実施)でも、半数以上の人が、まちなかや中心市街地は必要と答えています。しかし、地域が求める商店街と、我々商店街の当事者が思い描く姿には、何となく乖離がある気がしてしょうがありません。多分、地域の生活に根ざしその役割に謙虚に対峙した時、商店街が生き残る道が見えてくると思います。

私は、美味しい焼きたてのパンを売るパン屋さんが、新鮮な産地直送の安全な野菜や肉や魚を売る店が、さらに生活提案型の店があったりする街は、街の付加価値や満足度が高く住民にとっても良いことなのではとも思っていますが、この住民と商店街の補完関係こそ街のブランドになり、目指すべき姿だと思っています。つまり、今までのような補助金を当てにしたイベントで人を集め安売りするような生活支援型(安ければ良い)から、同じイベントでも専門性や生活の豊かさが提案できる、また「場」を表現できる仕掛けと、感性豊かな店舗が並ぶ生活提案型商店街ですが、こういった街を作るためには、まちづくりをビジネスとして捉え、きちんとエリアマネージメントしつつ、自らのチカラで前に進んでこそ実現可能で、ここに私の言う脱補助金の真意があります。中央集権的な行政頼りのまちづくりから自立分散型のまちづくり。これを支えるのが商工会議所の役割だと思いますが、如何でしょうか。

勝川では、今、三商店街、区・町内会、地権者法人の代表者で構成する勝川駅周辺まちづくり協議会で、FB等SNSを利用しながら住民の声をまちづくりに反映させる試み(仮称)100人委員会の準備を進めています。また、中部大学、愛知文教大学、地域住民、商店主で構成する商店街サポーター会議(通称二水会)を毎月開催し、生活提案、商品提案を考える「勝川スタイル」について議論を始めています。さらに、中部ESD協議会の事業の一環として持続可能な地域づくりを考える「弘法塾」を、また、起業支援と生涯学習の場として「かちがわ大学」を開講していますが、商店街からの参加は少なく今後の課題としています。もちろん、商店街としても弘法市の新たな展開や全国商店街支援センターの協力で新たな商業活性化策の検討(3カ年計画)をしていますが、いずれにしてもここまで話をしてきたように、従来とは社会が大きく変わってくるため、今までの経験則は多分役に立たないとも考えています。今回の講座では時間の関係で深く話が出来ませんでしたが、機会があれば、この自立分散型のまちづくりの話も深堀してみたいと思っています。長時間お付き合いいただき感謝します。