かちがわ通信

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夕張検証

先日、読売新聞の女性記者が追った600日を綴った「限界自治夕張検証」を借り読むことができました。夕張市は昨年3月財政再建団体に移行し、国の管理下で再建を目指してスタートを切ったところですが、この本はテレビや新聞で垣間見る「夕張」とは違って、夕張市民の目線に立ち内在する山のような諸問題を解説している点で非常に興味深く、我々も陥るかもしれない事案を危機管理の面から訴えています。

昭和56年北炭夕張新炭鉱ガス突出事故が発生96名の死者を出したことから始まります。国の施策も石炭から石油へ転換し補助金も徐々に打ち切られていき、市として炭鉱に代わる財政基盤として観光に注目、この推進役が6期24年務めた中田鉄次元市長(平成15年没)で、ご存じの数々の施設が第三セクター方式で造られていきます。この三セクの経営実態は最悪で市の一般会計から穴埋めがされていきますが、借金が雪だるま式に増え悪化していく財政状況やヤミ起債が発行されている現実を市民はもちろん道も見抜くことが出来なかったようです。犯罪に等しいこの行為の結果として632億というとてつもない債務を抱える羽目になっています。後藤前市長がこの「情報公開のなさが財政破たんした最大要因だ」と語っています。しかし、今回の事態になってからマスコミや各界の著名人が夕張に目を向けていますが、気になるのは市民のモチベーションが異様に低いことです。現状を見れば仕方ないかもしれませんが、18年かかって借金を返済する頃には住民が「0」になるほど、高齢化や人口減少が進んでいるようです。「夕張メロン」などブランドのある農産物もあるので、マスコミが注目している間に、何とか再生への道筋を一日も早くつけないと大変なことになります。時間との勝負だと感じました。
札幌市や東京都からも職員が派遣されているようですが、今春から春日井市も一人応援に出向しています。単純に行政破綻の原因を探るのではなく、人の心の葛藤の結末を、見極めて欲しいと思っています。同じようなことは全国の市町村にも内在します。