かちがわ通信

春日井市勝川発のまちづくり情報発信中!! 自立分散型、みんなでやらないまちづくりに取り組んでます

住民の視点に立った新しい街づくり「NEXT50」

かつて商店街は将に「買い物をする場所」「商店の集合体」でした。戦後間もなく多くが灰燼に帰するも、いち早くバラック小屋や闇市が建ち、市民の生活を支える多くの商店街、繁華街が生まれました。戦後の復興、経済成長、人口増大、市街地の拡大とともに、高度成長期にかけて「置けば売れた時代」が続き商店の数は飛躍的に増加していきます。しかし、昭和50年代後半から各地で大型店の出店が相次ぎ、さらに中心市街地を迂回する形で道路整備がされると、沿線には大型ロードサイド店が出店し、街中や駅前にあった商店街は相対的に地盤沈下していきます。ここ数年まちづくり三法の改正から始まった中心市街地回帰の動きは、これらの揺り戻しとも考えられますが、決して既存の商店街を保護するという意味合いではなく商店街自体の構造変化を促す内容である事は言うまでもありません。

世の中が多様化し、IT化が進んでくると一層商店街の衰退に拍車がかかりました。地縁で結ばれた人的結合体の商店街は、ゆるやかな方向性は決めれるものの、インフラ等時代を先駆ける投資は難しく、かろうじてホームページ程度のインフラしか持てない商店街が殆どです。特に勝川駅前の再開発事業を通じて感じたのは、かつて街中と言われた中心市街地に多くの土地を所有している地主の無為無策ぶりでした。空き店舗問題と言われ虫食いのようにシャッターが閉まっていく店舗や空き地には、傍目にも街の活気を削ぎ防犯上も良くないと社会問題化していますが、実は当の本人はシャッターを閉めても生活に困るわけではなく、「駐車場にでも」という安易な資産運用しか浮ばない現状に、商店街の役員など周囲が頭を抱えているだけという状況にあることは往々にしてあります。特に日本人は土地に対する執着(プライド)があり、住民との価値観の差はどんどん広がってきました。これを打開する方法が再開発や区画整理といった公的支援を受け再構築する手法ですが、根本は将に所有と使用の分離で、中心市街地と言う限られた範囲の資産を有効に利用しようというものです。しかし、昨日書いたように右肩上がりの経済を背景にすれば成立する手法で、社会が凝縮していく中で果たして有効であるかどうかは分かりません。「昔は良かった」というノスタルジックな感傷と「街の顔である中心商店街が衰退していてはみっともない」という価値観位しか見当たらないのが現状では、商店街は時代の流れとともに衰退していく運命なのかもしれません。

それでは「住民の立場に立った新しい価値観」って何でしょうか。商店街がかつてのように「商いの場」だけでないのは明白ですが、むしろ我々商店街が果たすべき役割は何かという原点に立ち戻り、その上で住民が商店街に何を望んでいるのか、何があれば商店街に足を運ぶのか、グローバルな視点での価値観を見つけ、その上で次の50年を考える議論が必要だと感じます。